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特集 微小循環の臓器特異性
脳微小循環をめぐる最近の研究動向
Current Trend in the Research of Cerebral Microcirculation
浅野 孝雄
1
Takao Asano
1
1東京大学脳神経外科
1Dept. of Neurosurgery, Univ. of Tokyo
pp.339-345
発行日 1980年4月15日
Published Date 1980/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203541
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脳は諸臓器の内で最も酸素の消費量が多く(全身酸素消費の約20%),そのために心拍出量の約15%にあたる血流を常時受けている。脳で産生されたエネルギーの大半は,神経細胞の膜電位を維持するために常時消費されている。また脳組織はグルコース以外の基質をエネルギー産生のために利用できないこと,きわめて僅かなグリコーゲン貯蔵しか持たないこと等のために,脳機能の恒常性は血液供給が安定して行なわれることに極度に依存している1)。呼吸循環機能の変動,頭蓋内疾患の発生,さらに脳機能局在による場所的なエネルギー消費の変動など,生理的,病的な環境変化に対して脳機能の恒常性が良く保たれることは,とりも直さず脳循環の調節が充分に行なわれていることを意味している。このような脳,循環の調節機構の代表的なものとしては,自動調節能(autoregulation)の存在が知られている。
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