巻頭言
慢性閉塞性肺疾患(COLD)の定義について
長谷川 鎮雄
1
1筑波大学臨床医学系呼吸器内科
pp.1155
発行日 1979年11月15日
Published Date 1979/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203455
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慢性閉塞性肺疾患(以下COLD)について,日頃から考えている2,3の事柄を述べ,巻頭言とさせていただく。私が千葉大学医学部第2内科に大学院生として入局したさい,恩師斉藤十六教授からいただいた研究テーマは,肺循環,とくに閉塞性肺疾患のそれについてであった。その頃は,いわゆるCOLDという概念が未だ定着しておらず,新米の私にとっては,対象症例の肺にどの程度の肺気腫が存在しているかを判断することで頭を痛めていた。論文をまとめる段階でも結局この問題は解決がつかず,非常に悩んだ記憶が鮮明に残っている。当時斉藤教授は,現在千葉大学教授であられる稲垣義明,木下安弘両先生とともに,左心機能の力学的分析,大循環動態の血行力学分析をすすめており,これらの手法を,各種心肺疾患の右心および肺血行力学的分析に応用することを考えられた訳であるが,私の菲才もあって,肺機能面からの病態解析が不十分で,斉藤教授のすぐれた御考えが十分生かされなかったのではないかと悔んだことであった。
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