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第5土曜特集 生活習慣病の克服に向けたゲノム医療――ゲノム医科学の進展と精密医療の実現
各論
【呼吸器系】
慢性閉塞性肺疾患
Chronic obstructive pulmonary disease(COPD)
檜澤 伸之
1
Nobuyuki HIZAWA
1
1筑波大学医学医療系呼吸器内科
キーワード:
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
,
エンドタイプ
,
精密医療(precision medicine)
Keyword:
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
,
エンドタイプ
,
精密医療(precision medicine)
pp.439-444
発行日 2021年7月31日
Published Date 2021/7/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27805439
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)はたばこ煙をはじめとする種々の環境因子と個人の遺伝因子との複雑な交互作用によって発症する.その診断は気流閉塞の有無によってなされるが,重症度や経年的な経過を含めた臨床像(フェノタイプ)はきわめて多彩であり,個人の遺伝因子を背景とした複雑で多様な分子間ネットワーク(エンドタイプ)によって形作られる症候群と考えられる.一方,治療において中心的な役割を果たしている気管支拡張薬や吸入ステロイド薬(ICS)はCOPDの自然経過に決定的な影響を与えることができず,COPDという病名のもと,息切れや咳・痰の程度や増悪の頻度によって治療が決定されてしまうのが現状である.COPDにおいてもゲノム医科学の進展によるエンドタイプの理解が進み,新たな治療薬の開発や,分子病態の違いを反映する特定の表現型やバイオマーカーによって疾患の再分類が行われ,個々の患者の背景に存在する分子メカニズムを標的とした精密医療の時代の到来が待たれる.
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