呼と循ゼミナール
ガスの流れ(5)
有田 健一
1
,
平本 雄彦
1
,
西田 修実
1
1広島大学医学部第2内科
pp.622
発行日 1979年6月15日
Published Date 1979/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203379
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肺末梢領域におけるガスの運搬および混合は拡散によると考えられている。もしこの拡散速度が普通の呼吸周期に比して緩徐に進展するならば,mixingの不全に基づいて,末梢気道に沿って,濃度勾配の生じる可能性がある。図1左のシェーマはこのような気道の長軸方向における濃度勾配を示したもので,stratified inhomogeneityと呼ばれる。これは肺内各領域ごとに濃度の異なるregional inhomogeneity (図1右)とは区別されるものである。現在までにstratified inhomogeneityの存在そのもの,さらにはそのガス交換におよぼす影響を検討するために,数学的モデル解析が試みられ,また各種の実験が行なわれている。
すでに1917年Kroghらは酸素を一回吸入した後の肺内N2濃度に注目し,呼気後半部における濃度(いわゆるalveolar plateau)の上昇はstratified inhomogeneityがその原因であると説明した。
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