呼と循ゼミナール
ガスの流れ(3)
平本 雄彦
1
,
西田 修実
1
1広島大学医学部第2内科
pp.288
発行日 1979年3月15日
Published Date 1979/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203335
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Schilderらは空気吸入時と80%He+20%O2の混合ガス吸入時のflow-volume curveを比較検討し,高肺気量位の呼気流速はガスの密度に大きく影響され,低肺気量位のそれはガスの粘性に大きく影響されるとした。しかし低肺気量位で両curveが一致する理由については何ら触れていない。
EPP conceptによれば強制呼出時に呼気速度を規定する因子の一つとして肺胞とEPPの間の抵抗,すなわちupstream resistanceがある。この抵抗はマサツ抵抗(Rfr)とガスが加速されるときの抵抗(Rca)よりなり,さらにマサツ抵抗は層流抵抗(Rla)と乱流抵抗(Rtu)との2つよりなる。RcaおよびRfrと肺気量との関係はMacklemらの報告によれば高肺気量位ではRcaが,低肺気量位ではRfrが主要な成分となるため,80%Heと20%O2の混合ガス吸入時の呼気速度の変化は,高肺気量位では密度が大きく関係してくる。これに対し,低肺気量位では呼気速度が低下し,末梢気道でのReynolds数は著しく減少して,気道内での気流は層流のパターンを呈してくる。
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