印象記
シンポジウム"Modeling of a Biological System:The Regulation of Breathing"の印象
本田 良行
1
1千葉大学医学部生理学教室
pp.51
発行日 1979年1月15日
Published Date 1979/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203303
- 有料閲覧
- 文献概要
上記のシンポジウムが去る78年9月11〜13日にOxford大学生理学研究室において行われた。
最初に,Dr.G.Cumming (Midhurst Medical Research Institute)はModelingにはFalsifiabilityを考慮することが重要であると強調した。つまり,われわれが考案したモデルと言うものは,たとえ何十回生体の現象と合致したからと言っても,絶対に正しいと言うことの証明にはならない。そのモデルに不完全さがあるという証明だけが可能で,それを通じて研究概念の進歩がありうると述べた。同氏は,湖を泳ぐswanを観察するという具体例をあげた。「swan—泳ぐ—白い鳥」と言う相互関係から「白い鳥—泳ぐ」と言う因果関係が成立するとした場合に,何十回目かの観察の後にblack swanが見付かったとしよう。このただ一羽のblack swanの発見により,上述の「白い鳥—泳ぐ」と言う因果関係がもはや成立しないことは明らかである。以下に,本シンポジウムで論ぜられた呼吸調節のモデルに対するblack swanの具体例を幾つか紹介する。
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.