今月の臨床 Preterm PROM—34週までの問題点
前期破水の成因
1.内的要因
寺尾 俊彦
1
,
金山 尚裕
1
Toshihiko Terao
1
,
Naohiro Kanayama
1
1浜松医科大学産婦人科教室
pp.136-137
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900290
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PROMの本態は卵膜の脆弱化である。卵膜の抗張力を担っているのはコラーゲンであるので,PROMの成因としてcollagenolytic proteinaseが考えられる。表1にcollagenolytic proteinasesとその基質特異性を示した。
我々はPROMの卵膜でType Ⅲ collagenが著明に減少していることを報告した1)。したがって卵膜コラーゲン分解酵素として顆粒球エラスターゼとトリプシンが考えられる。顆粒球は腟頸管に存在するので,そこから放出されるエラスターゼはPROMの外的要因として注目されている。一方,胎便中に多量のトリプシンが含まれていることが知られている。胎便が羊水中に排泄されると羊水中にトリプシンが存在することになる。すなわち羊水も状況によっては卵膜の攻撃因子となりうる。同時に羊水中には種々のプロテアーゼインヒビターが存在し,トリプシン等のプロテアーゼアタックを制御している。以下に内的要因としてのトリプシンおよびそのインヒビターとPROM発症との関連について述べる。
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