Japanese
English
綜説
血流の異常と心奇形の発生
Blood flow theory and the development of cardiac anomalies
安藤 正彦
1
Masahiko Ando
1
1東京女子医科大学心臓血圧研究所小児科
1Pediatric Cardiology, Heart Institute, Tokyo Women's Medical College
pp.1016-1025
発行日 1976年12月15日
Published Date 1976/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202984
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血流の異常が心奇形発生と関係する場合には,二つの場合が考えられる。その一つは,胎生期における血流パターンの異常が関係領域心血管系の低形成(低血流説)や過形成をきたし,血流異常の原因となった発生異常(主奇形)と共に,複合心奇形をきたしたと考えられる場合である1)。第二には,成立した心疾患が出生後,血流異常の影響を受けて,他の心奇形を合併して来る場合である。多くの複合心奇形は前者に属すると考えられる。後者は比較的少なく,心室中隔欠損の一定のタイプに生後発生して来る大動脈弁閉鎖不全は,その典型である2)。本症は日本人に多い事が臨床上観察され,重要な心奇形の一つである。ただし,普通にみられる心奇形においても,異常血流の影響を受けて,同一奇形が常に変化して行く事は日常しばしば認められる事である。
血流は胎生期のみならず出生後も,心奇形を発生,進展させる(evolve)一つの重要な要因と考えられる。これら心奇形の形態.心血管造影所見をしらべる事により,各心奇形の形態形成を推定して,どのように血流説が成立するかを示した。
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