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特集 呼吸機能障害
第17回日本医学会総会・44シンポジウムより
換気・血流分布異常
Impaired Ventilation-Perfuion Relationships
横山 哲朗
1
Tetsuro Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部内科
1Department of Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.749-753
発行日 1967年9月15日
Published Date 1967/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201813
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はじめに
換気・血流分布関係は,恒常状態の下において,肺胞気ガス分圧,さらには肺胞におけるガス交換を規定する最も重要な因子の一つである。血流のない肺胞では,その肺胞気は吸入気と同じ組成をもち,換気のない肺胞の肺胞気は混合静脈血に等しいガス分圧を示す。これらは二つの極端な条件にある場合であり,実際には,多くの肺胞スペースにおいては,この換気・血流比VA/Qは,これら両極端の中間にあって,不均等に分布しているものと考えられている。肺全体についてみたいわゆるoverallのVA/Qは正常な状態で空気を呼吸する場合には,おおむね0.8付近にあるはずである。このような場合にも,個々の肺胞スペースにおけるVA/Qは,かなり広い範囲に不均等に分布しているものと考えられている。VA/Qの不均等分布が存在することは,肺胞気組成の不均等をも意味する。これはO2—CO2ダイアグラムにみられるとおりである。すなわち,このO2—CO2ダイアグラムのVA/Q曲線は,いろいろなVA/Qに対応する肺胞気のPo2,Pco2を示している。VA/Qの大きい肺胞スペースでは,Po2は高く,Pco2は低く,逆にVA/Qの小さい肺胞スペースでは,肺胞気のPo2は低く,Pco2は高い(図1)。
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