Japanese
English
ジュニアコース
心臓の発生と奇形(2)
Embryological Consideration of the Cardiac Anomalies(2)
岡田 了三
1
Ryozo Okada
1
1順天堂大学医学部循環器内科
1Cardiology, Dept. of Int. Med., School of Med., Juntendo Univ.
pp.547-556
発行日 1973年6月15日
Published Date 1973/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202502
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Ⅱ.中隔の異常--その1--
哺乳類が水中生活をやめて陸上生活に適応できたのは心臓管にしきりができて体循環と肺循環が区別されたことに負う所大である。この中隔形成が,完成された必臓から予想して最初から縦方向にすすんだと仮定すると図7A左のように体循環と肺循環は別の系となって中隔欠損による血液の混合がないかぎりガス交換の意味がなくなる8〜10)。この2系が交叉するように中隔をつくるには,右図のように心臓への入口と出口で互いに逆方向をとるねじれをもった中隔ができねばならない。たしかに1編Bで述べたように心室流出路(球部・幹部)には目的にあったラセン状中隔が存在するが,心臓入口部である静脈・心房系にはこの逆ねじれにあたる特殊構造はない。この矛盾を無理なく解決してしかも血流の整理を合理的におこなえる中隔形成の様式を考えれば,中隔は血流に沿って縦方向に発生するのでなくて,実は血流と直角方向に非連続的に発生する心臓管のくびれ(図1A)が原基となり方向転換・融合がおこるとみなせばよいことに気付く。この方向転換・融合過程に異常を生ずると中隔欠損が発生し,先天性心奇形の中で最も多い奇形として,旧くから心奇形を考える基本となっている96)。
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