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講座
心筋収縮のモデリングとシミュレーション
Modeling and Simulation of Contractile Process of Heart Muscle
藤井 克彦
1
,
赤沢 堅造
1
Katsuhiko Fujii
1
,
Kenzo Akazawa
1
1大阪大学工学部電気工学教室
1Department of Electrical Engineering, Faculty of Engineering, Osaka University
pp.957-963
発行日 1976年11月15日
Published Date 1976/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202973
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骨格筋,心筋の収縮に対し,筆者等の興味がどの点にあり,そして研究のねらいが何であるのかをまず述べておきたい。筋肉は発生力対自重の比が大きく,負荷に応じて張力を発生し,エネルギーを動員するというすぐれた自動調節機能を備えているといわれている。現在工業用の駆動器として電気モータ,油圧式,空気圧式アクチュエータなどが開発されているが,生筋のように柔軟で,コンパクトで強力な力を発生する駆動器の開発が強く望まれている。すなわち研究の目的は,このような筋のすぐれた性質がどのような仕組みによって発揮されているかを解明し,人工筋肉の開発のための手がかりを得ようとするものである。そしてこのための1つの有効な手法として,収縮機構の数学モデルの作成とシミュレーション実験が行なわれている。
一方医学的な面を眺めると,近年循環器病学の発達に伴ない,生理学的な心筋収縮性の理論が臨床にも取り入れられ心臓全体としてのポンプ機能に対して,Vmax (無負荷時最大短縮速度)などの心筋固有の指標が脚光を浴びている。そして心筋収縮性の生理学的理論を展開すると共に心機能の指標との連関を求めることが強く望まれている。そこでまず心筋収縮機構の理論的展開に関連するモデリングとシミュレーションについて簡単に述べる。
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