今月の主題 心不全診療の動向
心不全の病態生理
心筋収縮機構
井上 通敏
1
,
堀 正二
1
,
北風 政史
1
1大阪大学医学部・第1内科
pp.8-11
発行日 1985年1月10日
Published Date 1985/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219562
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心不全は,心臓のポンプ作用の障害により組織に必要な血液が十分供給できない状態であると定義されるが,心不全は必ずしも心筋不全と同義語ではない.心筋不全は通常,心不全を伴うが,その逆は必ずしも真ではなく,たとえば心臓の血液充満が障害されるような状態では,心不全は起こっても心筋不全は生じないことが多い.同様のことは,循環不全と心不全の関係についてもいえる.心不全があれば通常,循環不全を伴うが,hypo-volemic shockのように循環不全はあっても心不全は存在しないこともある.したがって,心不全の病態がすべて心筋収縮機構の解析で理解できるわけではないが,心ポンプ機能の本態はやはり心筋レベルの収縮・弛緩機能により維持されているため,本稿では正常および心不全時の心筋収縮機構について概説する.
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