Japanese
English
特集 心筋収縮
心筋収縮—代謝
Myocardial Contraction—Metabolism
岳中 典男
1
,
樋口 マキエ
1
Fumio Takenaka
1
,
Makie Higuchi
1
1熊本大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, School of Medicine, Kumamoto University
pp.299-307
発行日 1972年4月15日
Published Date 1972/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202370
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Ⅰ.心筋の特性
心臓は不断の律動性収縮を続けなければならないので,この活動に対応するためのエネルギー代謝機構が形態的にも機能的にも具備されており,とくに種々の物質の取り込みと,その酸化およびそれと共役したエネルギー産生の効率は高い。心筋は冠状動脈により栄養されており,毛細血管はそれぞれの筋線維に分布していて,単位面積あたりの数は骨格筋よりはるかに多い。また,心筋の細胞質中にはミオグロビンがあり,血中のpO2が低い時でも高い酸素飽和度を保持し,心筋が必要とする時にはただちに酸素を供給することができる1)。
冠状静脈血酸素量は5〜6ml/100gで,動静脈血(AV)酸素較差は約12ml/100mlとなる。酸素摂取率は70%に及び,全身の平均値22%にくらべはるかに高く2),一方,心筋組織間液のpO2は約20mmHgですこぶる低い。このことは,心筋酸素消費量が多い割に血流量が少なく,虚血に陥りやすい状態にあることを意味している。イヌ心臓では約20分の虚血で細胞の不可逆的な障害がおこるという3)。
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