Japanese
English
Bedside Teaching
左房圧と抗利尿ホルモン
Left atrial pressure and antidiuretic hormone
吉田 尚
1
Sho Yoshida
1
1自治医科大学第2内科
1Dept. of Int. Med., Jichi Medical School
pp.1005-1008
発行日 1975年11月15日
Published Date 1975/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202835
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人体の細胞外液の量および浸透圧は常に一定に保たれている。人が自由に飲食し,日常活動を行い,その結果として出る老廃物を尿として排泄していること,また,陸棲動物として常に脱水の傾向にあることなどを考えると非常に精密な調節系がこれらについて存在することは明らかである。一般にこのような調節系は調節の対象となるものの変化を何らかの装置により感知し,その情報に基づいて適当な対策が講じられることより成立している。このような観点から細胞外液の浸透圧の変化を感知する装置は浸透圧受容体,量の変化を知るものは容量受容体volume receptorと呼ばれる。
抗利尿ホルモンADHの分泌に関する浸透圧受容体としてはVerneyらにより見出された視床下部の浸透圧受容体が一般に認められている。容量受容体としてはHenry,Gauerら1)により提唱された左心房が有名で,この説の当否について多くの実験がなされ,論争が行われた。しかし,血中ADHレベルの測定が可能となった最近十数年間に行われた実験の結果はほとんどすべての報告がこの説に肯定的であり,左心房がADHに関する容量受容体であることは確定されたといってよい。
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