増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
内分泌学的検査
下垂体
ADH(抗利尿ホルモン)
時永 耕太郎
1
,
椎名 達也
1
,
吉田 尚
1
1千葉大学医学部第2内科
pp.368-370
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909863
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検査の目的・意義
ADH(antidiuretic hormone,抗利尿ホルモン)は視床下部-下垂体後葉系において合成分泌されるホルモンで,腎集合管における水透過性を高め,自由水再吸収を促進し,体液量と血漿浸透圧の調節を行っている.ADH分泌は血漿浸透圧および循環血液量,血圧により調節され,ADHの評価は,その分泌調節機序をふまえて行う必要がある.
臨床的には,ADHの測定はその分泌の減少(欠乏)した病態としての尿崩症,および不適切に分泌の亢進しているSIADH(ADH分泌異常症候群)の診断に重要である.近年のradioimmunoassay(RIA)法による高感度ADH測定法の開発で,正常者と尿崩症患者の鑑別が比較的容易になりつつある.またSIADHの診断では,血漿浸透圧が低値であるにもかかわらず,血漿ADHの抑制のみられないこと,脱水のないことが重要である.
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