特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
内分泌学的検査
下垂体
ADH(抗利尿ホルモン,バゾプレッシン)
庄司 優
1
,
須田 俊宏
2
1弘前大学医学部臨床検査医学
2弘前大学医学部第3内科
pp.322-323
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101815
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)(antidiuretic hormone, vasopressin:ADH)はアミノ酸9個からなるペプチドホルモンである.その前駆体は視床下部で転写・翻訳を受け,軸索輸送下にプロセシングされて下垂体後葉に貯えられ,刺激を受けて分泌される.分泌されたADHは腎集合管のV2受容体に作用し,水再吸収を亢進させて抗利尿作用を発揮する.また,細動脈平滑筋のV1a受容体に作用して血管収縮を起こし,下垂体前葉のACTH細胞のV1b受容体に作用してACTHの分泌を促す.
ADHの半減期は約13分であり,血漿ADH濃度は下垂体後葉からの分泌を反映する.分泌調節は主に浸透圧受容体,容量受容体,圧受容体を介した刺激によって行われている.最も重要な分泌調節因子は血漿浸透圧である.血漿ADH濃度と血漿浸透圧との間には正の相関関係が認められ,健常人では血漿浸透圧が272mOsm/kg以下になるとADHは検出されない(図1).
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.