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講座
抗利尿ホルモン(1)—抗利尿ホルモンの基礎に関する最近の進歩
Antidiuretic Hormone (Part 1).
加藤 暎一
1
Eiichi Kato
1
1慶応大学内科教室
1Department of Internal Medicine, Keio Univ. School of Medicine.
pp.223-233
発行日 1958年3月15日
Published Date 1958/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200604
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緒言
1913年VeldenとFariniが別個に,其迄此れと云つて確実な裏付けなしに利尿作用を持つと考えられていた下垂体エキスが,尿崩症の患者に抗利尿的に働く事を始めて報告した。其の後の研究により,下垂体の内でも特に後葉のPars ner—vosaがこのホルモンと関係が深く,水分のバランスを調節し内部環境の恒常性維持に重要な役割を演じて居る事が明らかになつた。
近年水及び電解質の問題は,医学の全分野に亘つて興味の中心の観がある。臨床的研究の機関誌として最も権威ありと認められているThe Jour—nal of Clinical Investigationに,約25年前の1934年に掲載された水及び電解質に関する論文は1年に10編にすぎなかつたが,1955年には60編を越すと云う状況である。云う迄も無く,水及び電解質代謝は生体の代謝中最もdynamicなものであり,Homeostasisの根幹をなし,他の代謝のmediumを提供し影響を与えると同時に,又その代謝の影響を水,電解質代謝が受けることは必常である。
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