呼と循ゼミナール
RIの肺機能検査への応用
長野 準
1
1国立療養所南福岡病院
pp.974
発行日 1975年11月15日
Published Date 1975/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202828
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RI (日本で使われる略号で放射性同位元素のこと)が,わが国の放射線医学診療に導入されて以来,ほぼ4分の1世紀を経過した。25年といえば,肺生理学が臨床応用に結実しはじめた,すなわち肺機能検査法がめざましく発展をとげた期間にほぼ等しい。しかしこの間に,RI医学がこの面に取り入れられたのは微々たるものであった。これは他の研究分野においても同様であろう。それは核種や担体の生成あるいは測定装置の開発が,今日ほどに発展しなかったことによるものと思われる。今日までのRI応用によらないで発展して来た肺生理学研究も,今日ふりかえって,肝要な点でRIによる裏付けを必要としたところは,実に多い。
1955年Knippingが133Xeを用いて,肺局所の換気の不均等分布を観察した業績がある。これは,それまでに観察された左右別肺機能,肺葉別の機能あるいは肺内N2洗い出し曲線におけるalveolar plateau現象の説明に役立つものであった。と同時に,従来のover allの機能測定の方法から,局所の機能測定への途を拓いたもので,その意義は実に大きい。これに続いて1960年Westらは,C15O2を用いて肺の換気・血流比不均等分布について検討を行っている。
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