Japanese
English
ジュニアコース
Anoxemia(肺機能からみた)
Anoxemia (in relation to Pulmonary Function)
長野 準
1
,
広瀬 隆士
1
Hitoshi Nagano
1
,
Takahito Hirose
1
1九州大学医学部胸部疾患研究所
1Research Institute for Diseases of the Chest, Faculty of Medicine, Kyushu Univ.
pp.585-591
発行日 1966年7月15日
Published Date 1966/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201616
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はじめに
肺は機能的にみると,右心に還流する混合静脈血を動脈血化する臓器であり,したがって肺の本質的作用は肺胞レベルにおけるガス交換であるといえる。なんらかの原因によって,このガス交換の一連の機序が障害されたときは,生体はまず代償性反応をもってこれに応ずる。しかしついにそのhomeostasisが維持できなくなると,肺の機能の本質から考えて生体が動脈血ガス組成の異常をもって表現してくるようになる。すなわち低酸素血症anoxemia,高炭酸ガス血症hypercapneaである。肺の機能がどのような経路,形で障害されてきた場合でも,動脈血ガス組成に異常をみとめるようになると,その生体は肺不全pulmonary insufficiency状態にあるといえるのである。ゆえに肺が本来の機能を営んでいるかどうかを知るためには,動脈血計を採取して,その酸素,炭酸ガス分圧および含量を測定し,計価する必要が生じてくる。
本稿では,この低酸素血症について肺機能面から眺めていくが,順序としてまず静脈血が動脈血化する機構について述べ,ついで低酸素血症に関する今日までの知見を解説することにする。
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