Japanese
English
装置と方法
肺の迅速冷凍固定法について—肺の機能と構造との関連を研究する一環として
Rapid Freezing Method of the Lung Specimens:for studying interdependence between pulmonary function and structure
長野 準
1
,
広瀬 隆士
1
,
吉田 稔
1
,
末次 勧
1
,
鶴谷 秀人
1
Hitoshi Nagano
1
,
Takashi Hirose
1
,
Minoru Yoshida
1
,
Susumu Suetsugu
1
,
Hideto Tsurutani
1
1九州大学医学部胸部疾患研究所
1Research Institute for Diseases of the Chest, Faculty of Medicine, Kyushu Univ.
pp.975-980
発行日 1965年12月15日
Published Date 1965/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201529
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はじめに
肺の機能を構造と関連づけて考察する場合,まず問題となるのは組織の固定法であろう。もちろん死後気道内または血管内に固定剤を注入する固定法,またformalin fume1)やdrying2)による固定法は各組織の相互の位置関係や,病理学的変化を研究する場合にはすぐれた方法である。しかしながら得られた組織より生理学的状態を検討する場合には,これらの方法では組織の固定が緩徐に行なわれるため,その組織所見が果たして生存時の詳細な生理学的状態を現わしているものかどうかは疑わしい。
そこで生理学的条件と密に関連した正しい肺の構造所見を得るためには,既知の生理学的条件下で生存時の肺を瞬間的に固定する方法が必要となってくるのである。生体臓器の迅速冷凍法は,この様な目的から考案されたものであって1890年Altman3)が組織化学的研究へ迅速冷凍法を応用したのが最初である。1939年Sjoestrand,F.とT.Sjoestrand14)は液体窒素で,Gersh5)はisopenthaneで,またMommaertsとSchilling6)は液化プロパンによって,生体臓器の機能と構造との関連性の研究へ応用の途を逐次ひらいてきた。更に,1955年Chase7)は電子顕微鏡による肺胞膜の研究に液化プロパンによる迅速固定法を用いて,本法が肺の機能と構造との関連性を研究するにあたって有用であることを立証した。
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