Japanese
English
綜説
代謝性アルカロージスにおける呼吸と酸塩基平衡動態
Respiration and acid-base physiology and pathophysiology in metabolic alkalosis
本田 良行
1
Yoshiyuki Honda
1
1千葉大学医学部生理学教室
1Dept. of Physiology, School of Med., Univ. of Chiba
pp.200-208
発行日 1975年3月15日
Published Date 1975/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202731
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生体における酸塩基平衡の課題は,物理化学よりは,生理学ないし病態生理学的な解明にある。代謝性アルカロージスはこの間の事情をももっともよく示す一例と言えるのではあるまいか。例えば,代謝性アシドージスの場合には,今日知られている呼吸の化学調節の知識とHenderson-Hasselbalch式を用いて予測される酸塩基平衡像と実際に観察される状態にはさほど違いが認められない。しかし,代謝性アルカロージスのときには,両者はひどく相違している。また,いわゆる代謝性アルカロージスの"significance band"は,同時に電解質,体液,副腎皮質ホルモンの動態などを考慮しなければ正当な解釈に迫ることができない。実際,代謝性アルカロージスの場合にはsignificance bandを設定することはほとんど無意味なようにさえ思われる。この理由の1つは,われわれが測定できるのは,細胞外液(主として血液)の酸塩基平衡像であるのに,真の病態生理像を決定するのは細胞内液の性状であって,前者は必ずしも常に後者の状態を反映していると限らないためである。このことは,特に代謝性アルカロージスの場合に留意すべきポイントと思われる。
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