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増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ
1章 全身疾患
代謝性アルカローシス
Metabolic alkarosis
徳山 博文
1
,
伊藤 裕
1
1慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝科
pp.370-371
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201930
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- Abstract 文献概要
代謝性アルカローシスとは,動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の低下を伴わない細胞外液中の重炭酸イオン(HCO3-)濃度の上昇である.ヒトは生体内代謝活動において酸を産生するため,本来アルカローシスにはならないはずである.仮に,アルカリが大量に負荷されたとしても,腎尿細管からのHCO3-排泄により,アルカリは蓄積しない.したがって,代謝性アルカローシスの病態は,アルカリの負荷・蓄積と尿細管からのHCO3-排泄障害の両方が存在することを意味する.動脈血水素イオン指数(pH)>7.45,HCO3->28mmol/Lのとき,代謝性アルカローシスの存在を疑う.
アルカリ蓄積,酸喪失の原因の確認
アルカリの負荷の原因となるもの(輸血,高カロリー輸液)の有無,脱水など体液量減少の有無を確認する.次に,酸の喪失として,嘔吐(胃酸の喪失)などの臨床症状,利尿薬投与,高アルドステロン血症〔血漿アルドステロン濃度(PAC)>240pg/mL〕,低カリウム(K)血症(血清K濃度<3.5mEq/L)の有無を確認する.
尿細管でのHCO3-排泄障害
腎臓機能低下そのものでHCO3-排泄は起こる.また,体液量減少などレニン-アンジオテンシン系が亢進している状態や低K血症の状態がHCO3-排泄の妨げとなる.さらに,代謝性アルカローシスの際には集合管(β間在細胞)での塩素イオン(Cl-)チャネルとの交換によるHCO3-排泄が生じるが,クロール(Cl)欠乏(体液量減少)ではこれが破綻し,HCO3-が排泄できない.
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