呼と循ゼミナール
原因不明の肺高血圧について(1)—血管攣縮性原発性肺高血圧症
原沢 道美
1
1東京大学老人科
pp.594
発行日 1974年8月15日
Published Date 1974/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202655
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肺高血圧は高地環境においては,健康人にもみられるが,普通の環境では種々の心肺疾患に続発することが多い。しかし,生前明らかに肺高血圧が認められ,それにもとづく右室肥大をきたして心不全で死亡したにもかかわらず,心肺のいずれにもその原因と考えられる病変がみあたらず,いまだ原因不明の肺高血圧症が存在する。
このような症例は,すでに1891年Rombergにより原発性肺動脈硬化症として報告され,Dresdaleらが心カテーテル法により肺高血圧の存在を認めてより,原発性肺高血圧症と呼ばれるようになった。現在までにすでに約600例以上が症例報告されているが,その成因の不明なこともあって,その病像について必らずしも一定の見解は得られなかったが,近年Wagenvoortらは,51施設で臨床的に本症と診断された156剖検例を集め,それについて詳細な組織学的検索を行ない,原因についてはなお明らかではないが,本症が一つの独立した疾患単位であることを明らかにしている。
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