呼と循ゼミナール
狭心症
中村 芳郎
1
1慶応大学医学部内科
pp.603
発行日 1974年8月15日
Published Date 1974/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202657
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狭心症の概念は混乱するはずはないように思われるのに,WHOの虚血性心疾患の分類1)などで,心筋硬塞,中間症候群などと並べてAngina effortと書かれていると,動脈硬化性心疾患の中に狭心症が含まれており,他の疾患の狭心症は存在しないように感じられる場合があるらしい。実際,心電図のST-T変化とCoronary an—giographyの所見を検討していると,狭心症を定義する上でおそらく重要でありながらきめての少い,心筋の虚血に関する手がかりなしで心筋の虚血を論じそうになることがあることを考えると,一般臨床医が混乱するのは当然なのかもしれない。
狭心症の原因としてabnormal HbO2 dissociation curve, small-vessel disease等も挙げている場合がある2)が,本当にそのように考えてよいのか迷わせられる。特にSyndrome Xなどと言われると,狭心症の定義はどうなっていたのかと疑いたくなる。Likoff ら3)が正常coronary arteriogramを示す狭心症と思われる——異常心電図と自覚症から——女性例15例を記載して以来,この女性に多い説明のつけにくいSyndiomeにXの名を与えて呼ばれることがある。
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