Japanese
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Bedside Teaching
粘液水腫心臓—10症例を中心に
Myxedema Heart:Review of 10 Cases
渋谷 実
1
,
阿部 光樹
1
Minoru Shibuya
1
,
Mitsuki Abe
1
1東京女子医科大学日本心臓血圧研究所
1The Heart Institute, Japan, Tokyo Women's Medical College
pp.229-236
発行日 1974年3月15日
Published Date 1974/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202604
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粘液水腫心臓は病態生理学的には基礎代謝の低下に伴う組織での酸素消費量の低下,末梢血流の低下に伴う還流静脈血の低下,心拍出量の低下である。これらの現象が臨床像となってあらわれるわけであるが,粘液水腫心臓の臨床像の本質はZondek1)によって次の如く提唱された。すなわち粘液水腫に伴った心臓の拡大,不活発な心収縮,心電図異常およびこれらの変化が甲状腺治療によって正常にもどりうる疾患である。心臓および循環の変化は粘液水腫の臨床像が十分にそろった場合にあらわれるが,基礎代謝の−20%以下でも粘液水腫による皮膚変化や精神障害がない時には心臓および循環系の変化はみられないといわれている2)。
粘液水腫心臓は比較的稀であるが,甲状腺機能亢進症に対する手術後や放射性ヨード(I131)の治療後および橋本病等でしばしばみられる。粘液水腫で心異常を伴う頻度は80%3),75%4),10.5%5)等と報告されているが,粘液水腫の重症度と関係あると思われる。
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