臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XIII.皮膚疾患
粘液水腫 VS 強皮症
石川 英一
1
Hidekazu ISHIKAWA
1
1群馬大学医学部・皮膚科
pp.2144-2145
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216914
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なぜ鑑別が問題となるか
粘液水腫は,ムコ多糖が真皮に沈着する一連の疾患をいう.他方,強皮症は,皮膚硬化を主症状とする疾患群(皮膚硬化症)の代表疾患である.強皮症には膠原病に属する全身性強皮症(PSS)と,原則として皮膚病変のみがみられる限局性強皮症がある.
粘液水腫は,臨床的に甲状腺機能低下症にみられる汎発性粘液水腫性苔癬と,バセドウ病(Graves病)に合併する前脛骨粘液水腫と,甲状腺機能異常をみない粘液水腫性苔癬とに大別される.そのうち,前脛骨粘液水腫は強皮症とは異なる臨床像を示すので,ここでは省略する.それに対し,汎発性粘液水腫では,臨床的に顔面,四肢,とくにその末梢部に圧痕を残さない浮腫性腫脹をみることが特徴であり,全身性強皮症の浮腫期の皮膚変化との鑑別が問題となる.
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