Bedside Teaching
Idiopathic Respiratory Distress Syndrome
小川 雄之亮
1
Yunosuke Ogawa
1
1名古屋市立大学医学部小児科学教室
1Department of Pediatrics, Nagoya City University Medical School
pp.221-227
発行日 1974年3月15日
Published Date 1974/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202602
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
新生児,とくに未熟児が呼吸不全を示す代表的疾患はIdiopathic Respiratory Distress Syndrome (IRDS)である。本症は種々の新らしい治療法が開発された今日においてもなお未熟児死亡の主因を占めている。Avery1)は全未熟児出生の約4%が本症で死亡すると報告しており,また未熟児死亡の約40%が本症によるものといわれている。われわれの施設における1967年より1972年の6年間の未熟児剖検例114例をみても,その43%が本症に起因することを示している2)。
本症はその剖検肺にしばしばエオジン好性のhyaline membrane (肺硝子膜)の形成をみるところから,古くからhyaline membrane disease (肺硝子膜症)とも呼ばれている。しかし全く同じ臨床症状を示しながらも,生後数時間以内に死亡した例にはこのhyaline mem—braneを認めず,またhyaline membraneの組成および由来が血液成分の漏出物を中心としたもので,強い換気不全の結果二次的に形成されるものであることが明らかにされ,本症の呼称を病理学的命名によるhyaline mem—brane diseaseとするよりも臨床的命名のIRDSとすべきであるとして,1959年のInternational Symposiumの席で投票により決定された3)。
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.