呼と循ゼミナール
心室不均等運動の重要性
中村 芳郎
1
1慶応義塾大学医学部内科
pp.163
発行日 1974年2月15日
Published Date 1974/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202597
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Tennant and Wiggers1)は,急性冠状動脈閉塞実験で心室壁のsystolic bulgingについて記載し,この状態がおこる心室のhypodynamic beatsは,非虚血心筋の疲労よりも,収縮力が低下または消失した部が拡張し,この部に圧力の逃げができるために生ずると述べている。Swanら2)が,硬塞部位がnoncompliantの場合とcompliantの場合のモデルを示して心機能の変化を説明しているのも,この関係を重視した結果である。
筆者ら3)も,急性冠状動脈閉塞実験で虚血部のbulging形成を示したが,これに圧負荷を加えると,圧上昇は容易におこらず,虚血部位は拡張終末期心筋長を延ばし,非虚血部位は拡張終末期心筋長を短縮するといった反応を示す時がある。stroke volumeの変化も著明でないといった状態をみると,一体何を刺激として非虚血部位が短縮してしまったのかよくわからない。しかもsysto—Iic bulgingはこの時期に著明になり,非虚血部位の収縮期の短縮が著明になっている(stroke volumeが変らないから当然)。全体として見る時はFrank Starling機構により調節されているようであるが,部分的にはho—meometric regulationが非虚血部位には働いているように思われる。
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