呼と循ゼミナール
Annulo-Aortic Ectasia
谷口 興一
1
1東京医科歯科大学第2内科
pp.65
発行日 1974年1月15日
Published Date 1974/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202584
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大動脈弁輪の拡大に始まり,ときに腕頭動脈基部に及ぶ上行大動脈瘤(or dilatation)が存在し,しばしば大動脈弁閉鎖不全(以下AI)を合併しているものを,1961年Ellisら1)はAnnulo-Aortic Ectasiaと呼ぶことを提唱した。その場合拡張した上行大動脈壁は,cystic medial necrosisのため,薄く脆弱となっているので,Chapmanら2)(1965)はAnnulo-Aortic Ectasia with cystic medial necrosisと改称することを提案し,16例をまとめて報告した。本症の病因については動脈硬化,梅毒,外傷,敗血症,大動脈炎,idiopathic cystic medialnecrosisおよびMarfan症候群などであり,必ずしもMarfan症候群によるとは限らず,Grovesら3)の報告では,Marfan症候群によるAnnulo-aortic ectasiaは16例中3例(21.4%)であるという。本症の病因で最も多いのはidiopathic cystic medial necrosisであり,Blood—wellら4)によると,36例中24例(66.7%)である。本症のほぼ全例にAIを合併しているが,解離性大動脈瘤においてはAIを合併することは稀である。
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