Bedside Teaching
Sick Sinus Syndrome
加藤 和三
1
Kazuzo Kato
1
1心臓血管研究所
1The Cardiovascular Institute
pp.867-871
発行日 1973年9月15日
Published Date 1973/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202534
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近年高度の洞徐脈(洞房ブロック,洞停止)を呈し,時に失神・めまい等の発作をおこす症例に対し"sick si—nus syndrome"という診断名を用いることが次第に増加してきた1)2)3)。それらの症例の多くは内科的治療が困難でペースメーカーの使用を要するため無症候性の洞徐脈・洞房ブロックと区別する必要があることが強調され,治療と診断の両面で多数の注目を集めている。ところが,それらの中にはしばしば心房細動・粗動または心房ないし房室性頻拍の短かい発作を併発し,それにつづいて5〜10秒の心拍停止を示すことから,症候的にはむしろ徐脈—頻脈症候群4)〜6)(bradycardia-tachycardia syndrome, the syndrome of alternating bradycardia and tachycardia)といった方がより適切な例が少なくない。しかし高度の洞結節障害あるいは機能低下がある場合には頻拍発作の有無に関わりなく失神・めまいその他の精神神経症状,心臓症状,消化器症状が現われることは確かである。また頻拍発作を有する場合もその基盤に洞結節を含む心房筋の機能的・器質的異常があることには疑いがない。このような例を一括して"sick sinus syndrome"とする立場は容易に理解されるであろう。
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