巻頭言
冠副行循環不全
金沢 知博
1
1秋田大学医学部第二内科学教室
pp.927
発行日 1972年11月15日
Published Date 1972/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202429
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冠閉塞時にその末梢分枝と他の非閉塞冠動脈分枝間に動脈間吻合開大による副血行路が発達し,虚血心筋部への代償的・防御的副行循環を営むに至る。換言すれば,閉塞冠動脈末梢域は副血行路経由の主として逆方向血流によって灌流される副行循環系に置換される。したがって閉塞冠動脈領域が広範なほど,また閉塞個所が複数であるほど,その心臓の冠循環動態は正常冠循環時のそれでは論じえない複雑な様相を呈するであろうことを考えておかねはならない。
ところで,冠閉塞後できあがった副行循環機能を規定する因子として,吻合数,吻合口径,吻合発達部位,donor arteryの態度,大動脈圧(灌流圧),吻合内圧差および吻合内血流の方向,吻合も含めて吻合前後の小動脈の態度,冠閉塞部位およびそのひろがり,全体的・局所的心筋収縮性,心調律,代謝性・神経性自己調節能,動静脈短絡の存在,薬剤の影響,時間的経過など種々のものがあげられる。
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