Japanese
English
特集 心筋梗塞
心筋梗塞発症後の冠循環
Coronary Circulation in Myocardial Infarction
金沢 知博
1
,
猪岡 英二
1
,
丸山 幸夫
1
Tomohiro Kanazawa
1
,
Eiji Ino-oka
1
,
Yukio Maruyama
1
1東北大学医学部第1内科学教室
11st Department of Internal Medicine, Tohoku University School of Medicine
pp.55-63
発行日 1971年1月15日
Published Date 1971/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202227
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はじめに
心筋梗塞の病態生理は古くから多くの研究者によりいろいろの面から検索されてきたが,冠循環の面でも1949年Bingら1)がヒト冠静脈洞にカテーテルを挿入,N2O法で冠血流量測定を試みて以来,本法をはじめとする各種の方法で検討されてきた。本邦でも小林・伊藤ら2),原・関ら3),笹本・細野ら4)5)が長年これらの問題にとりくんできた業績がある。しかし,それにもかかわらず,心筋梗塞発症後の冠循環動態に関する十分な知見と理解がまだ得られていないように思われる。
これは,まず第1に冠循環は他の臓器循環とかなり異なった特殊性があり,その測定法自体に未解決な問題点を有すること,第2に冠循環面でもっとも特徴的な変動が期待される心筋梗塞急性期では,冠循環測定操作の実施は危険なため,実際に行なわれがたいこと,第3に急性期をすぎた梗塞心では副行循環などの防禦機構がはたらき,障害された冠循環はある程度代償されてしまうこと,第4に一口に心筋梗塞といっても冠硬化性狭窄や閉塞の部位,ひろがり,程度などに個人差があり,またそれらは副血行路発達の程度を規定する因子の1つでもあること,また合併症(心不全,高血圧など)の冠循環動態に及ぼす影響も個々の例によって考慮しなければならないこと,などの理由によるものと思われる。
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