今月の主題 冠硬化症の新しい知見
冠循環の病理
冠硬化症と副血行路
金沢 知博
1
1秋田大・第2内科
pp.154-155
発行日 1973年2月10日
Published Date 1973/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204592
- 有料閲覧
- 文献概要
冠副血行路の種類1)2)
かって冠動脈は終末動脈系であって,動脈相互間の吻合はないとされた.しかし,現在では,冠動脈相互間に細小動脈単位の前毛細管吻合が先天的,潜在的に存在することが知られている.
これらの吻合は冠動脈各主分枝間(intercorohary anastomoses,1次吻合などとよばれる),同一主分枝の分枝間(intracoronary anastomoses,homocoronaryanastomoses,2次吻合などとよばれる),および同一分枝のさらに小分枝間(3次吻合)に存在する.その程度は1次吻合が全吻合の約2/3,2次吻合が1/3を占め,3次吻合は少数である.またその分布はヒト心臓では,心室壁の心内膜下,心室中隔に豊富で,心筋内,心外膜側には少ない.その他心房壁,心房中隔にも分布する.なお,この冠動脈間吻合のほかに心房壁の動脈と気管支動脈や縦隔動脈などとの心外吻合も認められている.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.