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講座
冠副行循環
Coronary Collateral Circulation
金沢 知博
1
Tomohiro Kanazawa
1
1東北大学医学部第1内科学教室
11st Department of Internal Medicine, Tohoku University, School of Medicine
pp.889-898
発行日 1970年10月15日
Published Date 1970/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202196
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はじめに
生体には正常血行路以外の経路をとる異常血行路があり,その代表的なものとして副血行路があげられるが,従来主として末梢循環系で追求されてきた副行循環の問題は,各種臓器循環障害に関する研究の著しい発展に伴い,各臓器レベルにおけるその認識と理解を必要とするに至った。冠循環系における副行循環の問題もその一つである。
ヒト心臓における冠循環系の正常血行路は,左心室→大動脈→冠動脈→毛細管→冠静脈→冠静脈洞→右心房→右心室であるが,冠循環系には,この正常血行路以外に心腔と冠動脈あるいは冠静脈と直接的に交通する心内交通路,心臓に隣接する種々の血管と冠動脈と交通する心外交通路や冠動脈相互間の吻合の存在することが古くから認められており,そのほか冠静脈間吻合や冠動静脈間吻合も存在するとされている。
このうち,冠循環障害時に副行循環機能を発揮することが実証され,あるいはその可能性が示唆される血行路は心内交通路,心外交通路および冠動脈問吻合であって,以下これら血行路の性質と副行循環機能について今日までの知見を述べる。
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