Japanese
English
Bedside Teaching
GIK療法
GIK Treatment
宮下 英夫
1
Hideo Miyashita
1
1東京大学医学部第1内科学教室
11st Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.345-349
発行日 1971年4月15日
Published Date 1971/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202255
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はじめに
急性心筋梗塞の治療法としてglucose, insulin, K (potassium) の混合溶液(GIKまたはGIP solution)の点滴静注が有効であることを提唱したのは1962年Sodi-Pallares一派1)2)である。彼らはイヌの実験的心筋梗塞にGIK溶液による治療を行ない,心電図異常の早期改善,梗塞領域の縮少,梗塞部心筋の収縮力の増強,心筋K喪失の減少とNa,水分蓄積の減少,梗塞領域心筋の酸化的燐酸化の効率上昇が認められるとし1)2),また臨床的にもGIK溶液による治療は心筋梗塞の経過を好転させ,不整脈の発生頻度をへらし,死亡率の低下をもたらすことを報告した3)4)5)。
梗塞および虚血によって傷害された心筋線維はその細胞内Kを喪失し,その静止電位は低下しhypopolariza—tionの状態となる。このような細胞内に再びKを恢復させ,細胞内外K比を正常化させると,正常分極 (nor—mal polarization) となることが予想される。GIK溶液はinsulinが細胞膜に働いて,glucoseとKの細胞内とりこみを促進し,虚血によって失なわれた細胞内Kを正常化し,細胞内ATP,グリコーゲンの生成をもますとするのがSodi-Pallaresの考え方である。
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