特集 肺気腫
巻頭言
肺気腫研究会10年の歩み
横山 哲朗
1
1慶応義塾大学医学部内科
pp.561
発行日 1970年7月15日
Published Date 1970/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202159
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日本における呼吸器疾患の臨床の実際と研究の主流が,結核から慢性肺気腫をはじめとする非結核性肺疾患へと移行しようとする気配がみえはじめた,昭和35年のある日,肺気腫研究会を結成するための準備会がひらかれた。肺気腫が前景に出たのは,たまたまその前にひらかれた座談会での話題とも関連していたということであったが,非結核性肺疾患研究への足がかりをつくること,将来の呼吸器疾患研究への方向づけなどの理想をもち,また,肺気腫という一つの疾患をとおして基礎医学と臨床医学との協力,形態学と病態生理学との接点を求めるなど,今日でいうプロヂェクト・リサーチの組織をつくろうとの意欲に満ちた計画であった。
当時は,まだこの分野への関心は大きくはなく,したがって研究者の顔ぶれも限られたものとならざるをえなかった。それでも生理学,病理学,内科学,外科学の権威が賛同され,東北大学中村隆教授,慶応義塾大学笹本浩教授(当時助教授),北海道大学村尾誠教授(当時東京大学助教授)のお世話で発足することとなった。この計画の実現にあたってはエーザイ株式会社出原義雄,岩佐昭二両氏の熱心な協力があったことを記しておきたい。
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