特集 InsufficiencyとFailure (呼吸・循環機能を中心とした概念について)
各臓器の立場から
腎の立場から
木下 康民
1
1新潟大第2内科
pp.31-32
発行日 1969年1月15日
Published Date 1969/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201979
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「腎機能不全」といわれている病態は,多くの外国書をみてもNiereninsufficienz, renal insufficiency, renal failureと実にまちまちな表現がなされており,これを日本語では「腎(機能)不全」と訳しているわけである。もっともNiereninsufficienzなる病態の内容を「代償性」,「非代償性」の時期に分けている人もあるが,その限界が必ずしも明らかでないし,「非代償期」を尿毒症(Urämie)とするという考え方が従来から用いられている。腎の臨床的研究の盛んなアメリカの文献をみてもrenal insufficiencyとrenal failureを区別することなく使用されているのが多くの人々の現状である。
近年,腎臓病学の進歩に伴って種々の治療法が新しく脚光を浴びるようになり,ことに慢性腎不全に対して腹膜灌流や人工腎,さらには腎移殖が現実の治療体系の中に組み入れられる時代になってくると,一連の治療体系の中のどれをどのような病態に用いることが最も適当であるか,すなわち治療の医学的適応性を決める上で複雑な病態が整理され,それが国際的に是認されていることが最も合理的であり,適用した治療効果の評価にさいしても正しい評価をなしうるということから,最も好ましい姿であろうということを,私はわれわれの教室で人工透析の実施以来,痛感してきた。
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