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必要な検査
1. 糸球体濾過量(GFR:glomerular filtration rate)測定
ヒトのGFRは1分間に約100mlである.つまり,1 日(24時間=1,440分)で1440×100ml,約150lの血漿が濾過されていることになる.尿として実際排出される量は約1.5l程度であるから,尿量の100倍の血漿が糸球体から濾過されている.この糸球体濾過液は尿細管を通過するうちに水,ナトリウムを中心に生体の恒常性維持に必要な物質は再吸収され,最終的に尿として100分の1だけが体外に排出されている.このように十分の血漿量が糸球体から濾過されないと,生体にとって不要の代謝産物は完全に排泄することができなくなる.さまざまな腎疾患による糸球体病変の進展の程度,糸球体濾過能の障害度を把握し,治療法の選択,あるいは治療効果の判定などのためにGFRの測定が必要である.また,腎を主な排泄経路とする薬物を使用する際には,このGFRの値に応じて使用量を決定しなければならない.腎機能障害が進行しGFRが低下して30ml/min以下になると,食欲低下,吐き気,浮腫,貧血などの尿毒症症状を呈するようになる.この病態が腎不全である.
一般検査で知り得る腎機能の指標として血清のクレアチニン値があるが,図1に示すように,GFRが50ml/min以下,時に30ml/min以下にならないと異常値を示さない.クレアチニンが上昇したときには既にGFRは50%以下に低下しているのである.そのため正確な腎機能を知るために,GFR測定は臨床的に非常に重要な腎機能検査である.
GFRの測定法2)としては,1 )内因性物質による腎クリアランス法,2 )外因性物質による腎クリアランス法,の2つがある.
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