【シンポジウム:21世紀の腎不全看護のパラダイム―統合・調和・自立】
2.腎不全看護実践の立場から
宇田 有希
1
1日本腎不全看護学会
pp.38-40
発行日 1999年3月15日
Published Date 1999/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100009
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
はじめに
先日,偶然昔同じ病院で働いていた小児科医で現在開業している医師に出逢った.私が長年,透析看護に携わっていることはよく知っている旧知の間柄である.その医師が「器械を操作する以外に透析にどんな看護があるのかね」と言った.
また,長年通院していた施設に歳をとって長距離の通院が辛くなり,自宅に近い施設へ転院したものの,シャント・トラブルが続いて最後の手段としてCAPDに導入された,透析生活30年目の患者さんから電話をもらった.「短い間だったけどいつまたお世話になるかもしれないので,自宅近くの施設に挨拶にいったところ,医師からCAPDはアメリカで開発されたものだけど,あれは移植の繋ぎでする治療だから,せいぜい3~5年ももてばいいほうだよと言われて落ち込んでしまった」と言う.他の領域の看護婦からのこんな発言もある.「腎の領域の看護婦というのは,制限つき業務の人が多いのよ.産休明けや夜勤ができないという人も多いし,専門性を目指すなんてとてもとても」といったふうにである.
阪神淡路大震災のときのこと.ボランティアとして透析施設に派遣された看護婦が体験した話では,器械装置が違うからという理由で,即戦力というわけにはいかず,病棟業務に従事したということであった.以上,いくつか述べた例は,今後腎不全看護の専門性を考えるうえで,私たちがクリアしていかなければならない問題を含んでいる.
Copyright © 1999, JAPAN ACADEMY OF NEPHROLOGY NURSING. All rights reserved.