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はじめに
心臓拡張期充盈の制限される心疾患をconstrictive heart diseaseと総括することは,これら一群の疾患を理解する上に,はなはだ便利である。すなわち,その主病変が心膜(例えば収縮性心膜炎constrictive peri—carditis,または心嚢液貯留pericardial effusion),心筋(特発性心筋症,特にGoodwinら1)の収縮性,ら筋症constrictive cardiomyopathy, Shabetaiら2)のrestrictive myocardial diseaseなど)または心内膜(endocardial fibroelastosisなど)に存在していても,その病態生理がきわめて類似するからである。しかし主病変が心筋,心内膜に存在する場合,拡張期弛緩のみならず心筋収縮も種々の程度に障害されるから3)4),constrictive heart diseaseと総括される疾患の中でも主病変の存在個所によりその病態生理に若干の差異を生ずることは当然予想されるところである。この差異はまたはなはだ重要である。外科的治療の対象となる収縮性心膜炎は心筋・心内膜疾患と正しく鑑別されねばならないからである。われわれは従来,特発性心筋症の特異な病態を,心内膜・心筋生検により得られた形態的変化と,同時に行なわれた心臓カシーターその他による機能的変化との関連において検討し発表してきた5)〜10)。今回は収縮性心膜炎,または心嚢液貯留において最も典型的に現われるconstrictive heart diseaseの病態生理をまず説明し,臨床所見,心音図,心電図,胸部X線像,血行動態の特徴を特発性心筋症のそれと対比しつつ述べることにする。
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