巻頭言
肺内換気血流(VA/Q)分布の周辺
宗行 万之助
1
1三重大学医学部麻酔科
pp.1257
発行日 1989年12月15日
Published Date 1989/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205587
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1958年に大学を出てインターン終了後,直ちに麻酔を習い始めてから30年が流れた。昭和30年代においては患者の術中肺機能の指標には血液ガス分析,それもPO2が主体をなし,AaDO2の増加は肺内シャントならびにVA/Q不均等分布によるのだと教えられた。しかし,このうちVA/Q不均等分布の実体は必ずしも明確ではなかった。
VA/Qそのものの概念はRiley & CournandならびにRahnらによって1940年代末(1949)には確立され,グラフによる解析も行われているが,これにかかわるPO2の実測ということになると,ClarkがPO2電極についてJ Appl Physiolに報告を寄せたのは1953年で,この電極の完成を待たなければ,AaDO2の臨床的評価も確立されにくかったであろうことは想像に難くない。1950年代末のILメータの初期の型やAstrupの血液ガス分析装置には既に信頼するに足るClark電極が付いていたが,当時の白金電極は太くて酸素消費量が大きく,PO2についての膜較差が存在したことを覚えている。
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