Japanese
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講座
ガスの溶解度
Solubility of Gases
鈴木 国功
1
,
横山 哲朗
1
Kuninori Suzuki
1
,
Tetsuro Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1Department of Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.395-402
発行日 1968年5月15日
Published Date 1968/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201899
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はじめに
ガス交換のメカニズムの評価にO2あるいはCO2以外のいわゆるinert gasがインディケーターとして用いられている。O2あるいはCO2の場合には解離曲線が関与するために生理学的取り扱いがさほど簡単ではないがinert gasの場合には後述するように,これらガスがHenryの法則にしたがうのに加えて,ガスの種類により溶解度がかなり広範囲に異なるので,まことに利用価値が大きい。
近年ガス分析技術が進歩して,質量分析計まではゆかないまでも,ガスクロマトグラフィーは臨床肺機能検査にも普及しつつあり,かなり多くの種類のinert gasが十分な精度で分析できるようになった。しかしながら血液あるいはその他の体液に対する溶解度についての報告は必ずしも十分ではなく,さらにこれらの情報をまとめた文献が得難い。
水に対する溶解度は物理的常数であるから温度の函数として色々な常数表に与えられているが,体液,とくに血液に対するガスの溶解度は,これら体液そのものの生物化学的成分の影響をうけるために個体差が大きい。したがって文献的に得られた溶解度をそのまま利用することは,精度の高い研究には不向きである。このことは具体的に後述することとしたい。ともあれ本稿では種々のinert gasの溶解度について一応のsurveyを試み,さらにしばしば肺機能の評価に用いられるN2,N2Oなどについて詳しいdataをまとめてみることとしたい。
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