Japanese
English
特集 肺循環(1)内科領域
ガス拡散能力と肺循環
Diffusing Capacity and Pulmonary Circulation.
横山 哲朗
1
Tetsuro Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University.
pp.33-42
発行日 1963年1月15日
Published Date 1963/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201172
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はしがき
肺胞気と肺毛細管を流れる血液とが,いわゆる肺胞膜を介して接触して行なうガス交換はいうまでもなく,肺の機能のうちで最も本質的なものである。ガス交換のメカニズムについては,物理学的にも,あるいは化学的にも多くの研究者によつて長年にわたつて研究されてきたのであるが,未だ明らかにされていない問題点が少なくない。この分野は近年研究者の関心の的となり,未解決の問題点も1つずつ解明されつつあることはまことによろこばしい限りであるが,しかし生物自然科学の常として1つの問題点が解決される時に同時に,それ以上の新たな難問が目前に立ちはだかつているのを知らされるのである。拡散の問題も決して例外ではあり得ない。1962年も終りに近い今日,すでに明らかにされた点も決して少なくはないはずであるが,現在われわれが抱いている疑問は恐らくは,20年前の肺生理学者が持つていた問題点の数倍も,いやそれ以上多いのではないかと思う。拡散能力の概念そのものも時とともに変遷しつつある。筆者は,拡散能力の概念の歴史的展開を追いつつ,肺におけるガス交換と肺循環との関連についての現在の知見と将来の問題点について考察を進めてみたいと思う。
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