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講座
ガス交換
The Gas Exchange.
横山 哲朗
1
Tetsuro Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1Dept. of Medicine, School of Medicine, Keio University.
pp.205-210
発行日 1966年3月15日
Published Date 1966/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201565
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はじめに
生体において行なわれるガス交換作用は,究局するところ,それぞれの組織における細胞の機能を発揮するに必要なエネルギーを産生する酵素のはたらきを十分に,かつ円滑に維持するために営まれるものである。昔はこのガス交換作用そのものも生物学的な機能によって営まれるとする,いわゆる分泌説がとられたこともあったが,今日では,肺胞におけるガス交換も,組織ないしは細胞におけるガス交換もすべて純物理学的,あるいは物理化学的現象として理解されている。
肺における呼吸は,気相と液相との間のガス交換であり,いわゆる肺胞膜を介して行なわれる現象であり,組織において行なわれる呼吸は液相と液相とのガス交換であり,いわゆる細胞膜(生物学でいう細胞膜ではない)を介してのガス交換であるというちがいがあるが,これら物理的現象を支配しているもの(driving pressure)は,共に"分圧差"partial pressure differenceである。ガス交換作用を完成するには,これらのガス交換に加えて血液循環による運搬作用が伴なわれなければならないが,蛇足的説明は避けて,Fennの模型およびRiley—Cournandの模型を引用するに止めよう(第1図)。
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