Japanese
English
臨床
呼吸器疾患と線溶現象—とくに血液ガスと血中線溶能について
Blood Fibrinolysis in Pulmonary Diseases
梅田 博道
1
,
阿部 恒男
1
Hiromichi Umeda
1
,
Tsuneo Abe
1
1東京医科歯科大学第二内科
12nd Department of Internal Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.1041-1046
発行日 1967年12月15日
Published Date 1967/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201848
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はじめに
最近,呼吸器疾患についても,線溶能の異常が注目されてきた。肺の炎症性疾患,肺癌などで,喀血,血たんとの関係が,まず問題となるが,出血傾向だけでなく,凝固異常も考えねばならない。喀血,血たんと同時に血栓形成をみとめることがあり,出血があっても血液性状はむしろ凝固能亢進のことがあるからである。著者の一人,阿部は,肺癌の線溶能について,fibrinogen con—tentの増量と血中線溶能の低下を,すでに報告した。
さて,今回われわれは,各極の呼吸器疾患について血中線溶能を測定したが,肺線維症と肺気腫では,その態度がまったく異なることに気付いた。線溶能の異常は,肺胞換気の大小と関係があるらしい。たまたま,著者は臨床的に,高CO2血症をともなうPickwickian syn—dromeの一例が,原因不明の喀血をおこしたのを経験し,この考えをさらに強めた。運動負荷,低O2血症が血中線溶能を亢進するという報告は,すでにあるが,著者は高CO2血症が,さらにこれを促進するのではないかと考えた。そこで,臨床実験および動物実験で,低濃度O2混合ガス,および高濃度CO2混合ガス吸入試験を行ない,血液ガスと血中線溶能を同時に測定した。
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