増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
血液検査
46.線溶現象
青木 延雄
1
1東京医科歯科大学・第1内科
pp.1736-1737
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222735
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●線維素溶解機構
血液凝固の結果,フィブリンが析出し血栓が形成されると,フィブリンを溶解して血栓を処理(溶解)しようとする生理的反応が起こる.これを線維素溶解(線溶)という.すなわち,フィブリンが析出すると,循環血中のプラスミノゲンアクチベーター(血管内皮で産生され血中に放出されている)とプラスミノゲン(肝で産生される蛋白分解酵素原)が析出フィブリンに吸着され,フィブリン分子上で,プラスミノゲンがプラスミノゲンアクチベーターで活性化されプラスミンになり,プラスミンがフィブリンを分解する.その結果,フィブリン分解産物(FDP;他章参照のこと)が出現する.フィブリンが析出しない場合は,アクチベーター(ウロキナーゼや組織プラスミノゲンアクチベーター)を静脈内投与する血栓溶解療法や,アクチベーターが過剰放出された特殊な病態など以外では,通常,プラスミノゲンの活性化は循環血中では起こらない.この線溶の反応系が制御なく進行すると,止血のために損傷血管に形成された血栓(止血栓)も,損傷血管の修復以前に崩壊することになり,出血傾向が招来される.そこで,その反応を制御する機構が存在する.
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