Japanese
English
綜説
人工ペースメーカー使用にともなって現われる不整脈の諸問題
Interesting Arrhythmias Associated with the Use of an Artificial Cardiac Pacemaker
五十嵐 正男
1
Masao Igarashi
1
1聖路加国際病院内科
1Department of Internal Medicine, St. Luke's International Hospital
pp.647-654
発行日 1967年8月15日
Published Date 1967/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201799
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はじめに
心筋が他の骨格筋と同様に電気刺激に反応して収縮する事実は古くから知られ,18世紀の終りにはすでにGa—lvani1)によって記載されているが,その臨床的応用について考えられたのはずっと後になってからで,1932年にHyman2)により皮膚の上から針電極で心房を刺激して心臓停止の治療を試みた実験が行なわれた。それと前後してWiggers3)により,動物実験で綿密に心筋の多くの電気的特性が機械的特性とともに研究され,近代の心臓電気生理学の基礎がここにはじめて樹立され,今日の隆盛をみるにいたったのである。
人体に対して人為的な電気刺激を加え,なんらかの理由で自動性のなくなってしまったか,またはそれに近い状態の心臓を正常に機能させようとする試みは,1952年にZoll4)によって初めて試みられた。彼は交流を電源とする発振器を使って,皮膚の上から25Vから150Vくらいの電気刺激を加え,心停止にともなう Adams—Stokes Syndromeの治療に成功したというきわめて驚異的な発表を行なった。このときいらい,不整脈治療の分野に今日みられるような各種の"電気刺激"が入りこんできたが,この身体表面からの電気刺激は電極下の皮膚の火傷の他にも,肋間筋や他の胸壁筋の収縮をともない,患者に多くの苦痛を与えるのでそれに代る有効な電気刺激の方法が追求されるようになった。
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