Japanese
English
講座
微小循環の生理—hemodynamicsを中心として
Physiology of Microcirculation, :Especially on Hemodinamics
吉利 和
1
Yawara Yoshitoshi
1
1東京大学医学部吉利内科
1The 1st Dept. of Internal Medicine, University of Tokyo, School of Medicine
pp.885-890
発行日 1966年10月15日
Published Date 1966/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201673
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緒言
微小循環ということばが魅力的な印象を与え,外国でも数年にわたるシンボジウムがもたれ,わが国でも文部省の総合研究班に取り上げられた理由の1つは,この分野の研究によって体液循環と細胞代謝との結びつきが得られはしないかとの期待によるものであろう。研究技術の進歩を後楯として,今後ますます発展すべき分野であって,ある現象を脚光を浴びつつあるこのことばに置き換えることによって,問題が解決されたごとき安易な用い方は慎むべきであろう。
微小循環の内容は必ずしも一定していないようである。物質交換に直接関与する毛細血管レベルでの血流と解する狭い立場と,血液のみならず,広く体液の循環すなわち微小血管内血流,その透過性,組織液の流れ,微小リンパ管内のリンパ流などを対象とする広い立場とがある。一方組織の差によって微小循環にもそれぞれ異なった特徴があり,微小循環一般を論ずることは因難なことも多い。したがって著者は一応広い立場からできるだけ普遍的な問題を取り上げ,そのなかでとくに興味ある2,3の点につきhemodynamicsを中心に述べることとする。
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