Japanese
English
臨床
中枢性呼吸調節機構に及ぼす薬物の影響
Effects of Drugs on the Central Respiratory Mechanisms in the Brain Stem
福原 武彦
1
Takehiko Hukuhara
1
1東京大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.863-874
発行日 1966年10月15日
Published Date 1966/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201671
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I.呼吸機能に影響を与える薬物の 作用機序分析に関する諸問題
換気量の増加または減少をおこす薬物はそれぞれ,いわゆる呼吸興奮薬または抑制薬と呼ばれてきた。分時換気量の増減がおこる場合,毎分の呼吸頻度と呼吸気量の間には幾通りもの組合せが可能であり,両者がある程度独立に変化する場合もあって,また,同一の薬物でも用量によって変りうる40)41).
従来,分時換気量,CO2—換気量応答曲線,呼吸運動の頻度,呼吸気量の変化を根拠に呼吸調節機構各部の興奮性変化が論じられてきたが,これらの指標はいずれも呼吸調節に関与するすべての機構の綜合された反応性を示すものである。したがって,これらのみでは調節機構の各部に対する作用,ことに中枢性神経機構に対する作用を推定する根拠を得ることはできない。また,薬物の作用が,生理的調節機構の興奮性の変化を介して発現することは明らかであり,生理的調節の諸要因相互間の機能的均衡の変動が綜合された変化の根底にある。したがって呼吸調節に関与する諸構造はすべて薬物の呼吸作用の作用部位となりうる2)3)36)39)51)。
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