Japanese
English
綜説
力学およびエネルギー代謝系としての心臓
Mechanics and Energetics of the Heart
岡村 輝彦
1
Teruhiko Okamura
1
1伊勢崎病院
1Isesaki Hospital
pp.629-637
発行日 1966年8月15日
Published Date 1966/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201622
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I.はじめに
従来,心臓の機能を論ずるのには血行動態の立場からなされることが多く,心臓を「筋肉で作られたポンプ」として扱ってきた。しかし「ポンプとして働く筋肉」でもある心臓は1つの「力学系」として収縮弛緩をくりかえすのであって,しかも循環系に要求される幅の広い適応性をもって動いている。したがってこの立場からは筋肉生理学的な見方で研究が行なわれる必要があるが,エレクトロニクスその他の導入はこの方面の研究を発展させた。また心筋の興奮収縮にはエネルギーの消費を要し,このためには心筋細胞の内外にわたる生化学的変化が行なわれる。
冠循環に関する研究の進展は,心筋における酸素消費量ひいては好気的代謝過程におけるエネルギー消費量の測定を可能にした。従来心筋のエネルギー消費はその外的仕事によると考えられていたが,むしろ主として心筋の張力の維持に消費されることが判明してきた。この点でも心筋の力学的性質との関連が強調されなければならない。
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